高知新聞「知って安心 くらしの医学メディカルチェック」
転移性脳腫瘍に対するガンマナイフ治療の変遷
もみのき病院 院長 脳神経外科 森木 章人 転移性脳腫瘍に対するガンマナイフの有効性が報告されるようになり、現在世界中で広く治療が行われています。
今回ガンマナイフ機器の進歩により、従来のフレーム固定に加えて、プラスチックシェルを用いたマスク固定での治療も可能となりました。 このことによって、ガンマナイフでの分割照射が容易になりました。そして転移性脳腫瘍に対する治療戦略が大きく変わり、治療対象が広がってきています。
これまでは適応外とされていた直径3センチを超えるような、比較的大きな腫瘍に於いても一週間前後の分割治療で、開頭手術と同程度の治療効果が得られ、さらに低い副作用の発現率に抑えられるようになりました。
後頭蓋窩(こうずがいか)の病変でも十分な治療効果が数ヶ月の経過で得ることができ、腫瘍摘出腔に対する有効性も実際に見られています。
このことは、原発巣の治療を中断することなく対処できるという利点があり、患者さんやがん治療に関わる医師にとっては大きな福音となるものと思われます。 (令和3年5月18日掲載)
写真は当院のガンマナイフ治療装置「Icon(アイコン)」