高知新聞「知って安心 くらしの医学メディカルチェック」
自閉症スペクトラム症について
もみのき病院 医師 三宅 典子(小児科)
自閉症スペクトラム症は、社会的コミュニケーションの障害と強いこだわりや感覚の過敏さがある発達障害の一つです。その初期症状の一つに、共同注意の発達の遅れがあります。共同注意とは、相手の注意がどこに向いているかを理解し、自分も同じものに注意を向けることです。同じものを見て笑い合ったり、同じ感情を持っていると思うことで、相手の関係が深まり、対人関係を結ぶ基礎になります。
自閉症スペクトラム症のお子さんは、人の視線に気付くのが遅れ、共同注意の発達も遅れます。歩行などの運動発達が正常なのに、1歳半検診までに、
「保護者が指さした方向を見る」
「自分の好きなおもちゃを保護者に見せに来る」
「自分の興味があるものを指さし、教えようとする」
という行動が見られないときは、検診施設にご相談ください。
(令和3年11月掲載)