高知新聞「知って安心 くらしの医学メディカルチェック」
がん治療のパラダイムシフト
もみのき病院 院長 森木 章人
日本では1981年以降、がんが死因の第1位を占めています。高齢化とともに、がんに罹る患者は年々増加傾向にあり、まさに「日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死亡する」時代となりました。一方で近年、がんの検査法や治療法が進み、早期に発見し、早期に治療すれば「がんは治せる病気」となりつつあります。
がんが発生する主な原因は遺伝子の異常といわれており、最近はこの遺伝子の傷を調べることで、特定のがんの診断や有効な抗がん剤も選択できるようになってきました(がんゲノム医療)。そして、ガンマナイフを中心とした定位放射線手術の進歩とともに、がんの脳転移で亡くなる方が減ってきました。
緩和ケアについても、最近では診断時から治療と並行して行われるべきとされ、早期から緩和ケアへの介入によって生存期間が延びるというデータも出ているほどです。
今後は日々の生活習慣の改善による、がんの予防が重要視されるようになるのかもしれません。 (令和4年9月15日掲載)