虚血性心疾患（虚血性心筋症）にご注意ください

俳優の西田敏行さんが10月17日に永眠されました。ご冥福をお祈り申し上げます。
西田さんの死因は「虚血性心疾患」と発表されました。虚血性心疾患は心臓の周りの血管にトラブルが起こる病気の総称で、狭心症や心筋梗塞がこれに含まれます。心筋梗塞が死亡率の高い病気であることはよく知られていますが、実は心筋梗塞から助かった後に残存する心臓の機能の低下（虚血性心筋症と呼ぶこともあります）も怖い状態であることは、意外と知られていません。最新の研究でもこの虚血性心筋症の患者さんは５年で40％程度の方が亡くなると報告されており、これは予後が良い一部のがん（胃がんや大腸がん、乳がん）よりも悪い成績でした。

心筋梗塞により失われてしまった心臓の筋肉を再生させる治療は、今のところ存在しないため、最も重要なのは心筋梗塞を発症しないように予防することです。血圧やコレステロールに注意することや禁煙に努めることに加え、胸の痛みや締め付け感・圧迫感などを自覚した場合は、無理をせず早めに病院を受診するようにしましょう。
(R6.11.14掲載）