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高知新聞「知って安心 くらしの医学メディカルチェック」

認知症の診療について

もみのき病院 精神科 内田 伸子

記憶力、判断力などの認知機能が低下した状態がある程度の期間にわたって持続し、暮らしに不都合が出るようになって、初めて「認知症」と呼ばれます。
精神科では、認知機能の低下や生活障害に、不安や抑うつ気分、意欲の低下などの精神症状を伴う方を多く診察します。
感情や行動上の症状を伴う場合、「認知症」は、神経学的障害などの医学モデルのみで説明され得る「自然種」ではなく、「相互作用種」と捉えて関わることが大切ではないかと考えています。自尊心や感情・認知へ影響する社会心理学的なさまざまな要素(その人を取り巻く周囲の人の存在、関係性)との相互作用で症状は流動的に変化します。認知機能の低下が進行しても、「人であること(personhood)」が満たされると、より良い状態で過ごすことは可能で、本人の気持ちに寄り添い、どのような暮らし・時間を過ごしていくのかという視点も重要です。
(R6.1.14掲載)


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