高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
脳神経外科「MRIで分かる 脳の加齢性変化」
もみのき病院 診療部長 有光 誠人
中高年を過ぎてくると、物忘れやふらつき、手足のしびれなどの体調不良が出てくるものですが、脳卒中の前兆であることがあり注意が必要です。針の先ほどの大きさの脳動脈が閉塞し脳細胞がダメになった場合に、小範囲の脳梗塞となります。症状がないことの方が多いため、「隠れ脳梗塞」と呼ばれています。
同じように動脈が破裂した場合には、「隠れ脳出血」の状態となります。この場合ヘモジデリンという物質が沈着するので頭部磁気共鳴画像装置MRIでは黒く抜けて見えます。このような動脈にはアミロイドというアルツハイマー病の原因になっている物質が沈着していることも多く、認知症になることがあります。
高磁場MRIで検査して見ると、中年以降の健康な人のおよそ20人に1人に「隠れ脳出血」が存在していることが分かってきています。脳卒中および認知症の予防についても、MRI検査を行って脳内の様子を精細に理解することが大切です。
(H26.1.27掲載)