高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
脳神経外科「自分の心がけで認知症予防」
内田脳神経外科・もみのき病院 理事長 内田 泰史
認知症になる人には、なりやすい理由があります。 アルツハイマー型の認知症では、認知症を発症する10~20年も前から、原因物質の一つと考えられているアミロイドβタンパクという物質が脳にたまり始めているといわれています。これは健康な状態であれば、自然に分解されていきます。しかし、認知症になりやすい生活をしていると、分解がうまくいかず、脳にたまり続けていくのです。たまっても発病しない人もいます。見方を変えれば、認知症になる前に、自分の心掛けで生活習慣を変えていけば、認知症は予防できることになります。
認知症になりやすい人は、家に閉じこもりがちで体を動かさない、生活に変化がない、取り立ててすることがない、曜日や時間を意識していない、糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病がある、会話が少ないなどの人が挙げられます。また、水分不足、栄養不足や偏り、便秘なども認知症症状を悪化させる要因にもなります。
認知症にならないためには、今までの自分の生活習慣を見直すことから始めましょう。人生にも認知症予防にも、遅すぎるということはありません。軽度認知障害の段階の方でも、その移行を阻止することができます。
まずは、創造的に頭や指先を使いましょう。日記や新聞の朗読などがお勧めです。定期的な運動も、脳を活性化させ、注意力や判断力を向上させます。軽い散歩や体操など、友人と一緒に話をしたり笑ったりしながらがいいでしょう。食事は、青魚や緑黄色野菜、果物を積極的に取り、腹八分目。趣味を持ちストレスを発散することも大切です。(H26.4.28掲載)