高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
認知症の早期発見
もみのき病院・内田脳神経外科理事長 内田 泰史
認知症が予防できると言うことは、既に明らかなところです。人生最期まで脳を生き生きと保ち、心身共に健康に生きることは可能です。しかし、それは本人の努力と心掛けによります。また、認知症は、急に重症にはなりませんので、早い段階から、周囲がその兆候を見逃さないことです。認知症でも、早期発見が大切です。
脳を生き生きと保つ秘訣を挙げてみましょう。
まずは、身体の健康です。特に足腰を丈夫に保つことは欠かせません。次に、生きがい、趣味、交友を持ち、脳に刺激を与え、人生を楽しむことです。そして、常に、意欲や好奇心、向上心、研究心、積極性を持ち続けることです。また、お酒はたしなむ程度で、たばこはお勧めできません。もちろん、食事や水分摂取についてはいつも気を配る必要があります。
家族や周囲の人が気をつけることは、ちょっとした気付きを放置しないことです。軽度認知障害の段階では、家庭内での生活に支障はほとんど出ません。一見、生活はこなせているため見過ごされがちですが、周りが「難しいことは頼まないようにしよう」などど思い始めれば、要注意です。既に軽度認知症が始まっている可能性があります。普段から、ちょっとした気付きを後回しにせず、注意深く見てみましょう。
例えば、自発性、計画性、機転、感動、注意分配能力、意欲の低下、表情の乏しさ、動作や話し方の鈍さ、思い込み、考え違いなどが挙げられます。また、物事の優先順位も付けられず、依存心も高くなり、怒りっぽくなったりもします。
ご本人でもご家族でも、ささいなことと思わず、小さな事でもお気軽にご相談ください。 (H26.9.5掲載)