高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
切らずに治す脳腫瘍
もみのき病院 医師 刈谷真爾
脳腫瘍を切らずに治す方法があるのをご存じでしょうか。 定位的(「定位」とは病変の位置を正しく定めるという意味)放射線外科治療と呼ばれるもので、放射線を様々な角度から1カ所に収束させて、腫瘍のみに高エネルギーの照射を行なう方法です。 正常脳組織へはほとんど影響を与えることがないため、脳の深い部分や重要な機能を担う部分に腫瘍があっても治療が可能です。 短期間の入院で、局所麻酔下で、もしくは局所麻酔も行なわずに治療が可能であることから、小児から高齢者まで、全身麻酔下での手術に危険が伴うような状態の方でも、大きな痛みや苦痛を伴うことなく治療を行うことができます。 定位的放射線外科治療には、エックス線を用いるライナック・サージャリーと呼ばれるものとガンマ線を用いるガンマナイフ治療と呼ばれるものがあります。また、脳腫瘍以外にも、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻といった脳血管疾患や三叉神経痛の治療法としても有効です。 (H26.9.22掲載)