高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
B型肝炎ワクチンの定期接種化について
もみのき病院 看護師 久家 真衣子 (小児科)
B型肝炎ワクチンは、世界初の「がんを予防するワクチン」です。厚生労働省は、今年10月からB型肝炎ワクチンを定期の予防接種に導入する方針としました。
B型肝炎ウイルスは非常に感染力の強いウイルスであり、感染して慢性化することで肝硬変や肝臓がんなどの命にかかわる病気を引き起こします。感染は、血液、体液によるものが主で、分娩時に母親から子どもへ感染したり、ウイルスに汚染された血液に直接接触することで感染としたりすることが知られています。
しかし原因不明で感染することもあり、特に子どもの場合は感染経路不明のことが多いとされています。 過去には佐賀県の保育所で職員、園児の集団感染が発生した事例も報告されており、母子感染対策のみでは子どものB型肝炎ウイルスへの感染を防ぎきれないことが問題となっていました。
乳幼児がB型肝炎ウイルスに感染すると、成人に比べ慢性化する危険性が高くなります。できるだけ早いうちに予防接種を受けさせることが、ウイルスから子どもを守るために非常に大切なことです。
(H28.5.17掲載)(所属・役職は掲載当時のものです)