高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
脳ドックの研究で分かってきたこと
もみのき病院 院長 森木 章人 (脳神経外科)
健康と病気の間には、「未病」という病態があるといわれています。 近年の遺伝子診断や画像診断の進歩は、未病の発見に大いにつながります。未病のケアを行なうことによって、病気の進行を遅らせることができるのかもしれません。
「脳の未病」の発見を目的とした脳ドックは、日本独自のシステムであり、その疾病の経過や病態を知る上で現在注目されている領域です。例えばアルツハイマー病(AD)の原因とされるアミロイドβの蓄積は、認知機能障害の発症に15年以上先行することが示され、軽度認知症(MCI)期(※1)やそれ以前のプレクリニカルAD期(※2)に予防や治療を開始することが理想的と考えられています。日本脳ドック学会を主体とする多くの臨床研究から、認知症や微小血管病、脳動脈瘤、脳卒中などの病態について多くの知見が得られ、臨床応用されるようになってきました。詳細については、日本脳ドック学会認定施設にお問い合わせください。
(※1)正常ではないが認知症でもない状態で、数年後には認知症に移行する可能性がある状態
(※2)認識機能は完全に正常だが、脳内ではアルツハイマー病の原因物質の蓄積が始まっている段階 (H28.7.12掲載)