高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
スポーツと脳震とう
もみのき病院 院長 森木 章人 (脳神経外科)
以前フィギュアスケートの羽生結弦選手が脳振とうを起こしていたのもかかわらず、試合に強行出場したことが話題になりました。 脳振とうとは、脳が激しく揺さぶられることによって起こる脳障害のことです。これは格闘技などのコンタクトスポーツだけでなく、日常生活の中でも転倒や転落、衝突など様々な原因で起こります。重度のものでは、意識がなくなったり、その時の記憶がなくなってしまう記憶障害を起こすことがあります。
それほど重症ではない脳振とうでも、頭痛やめまいが残っている状況で2回目の衝撃が脳に加わった場合、それをきっかけに致命的な脳損傷に至ることがあり、大変危険です(セカンドインパクト症候群)。さらには頭蓋内の出血が原因で死に至ることもあります。
脳振とうの症状があった場合には、その日のプレーは原則禁止です。症状がなくなるまで十分休む、そして少しずつ段階的に復帰することが大切です。脳振とうを起こしたら、できるだけ早く脳神経外科を受診するようにしてください。
(H28.9.15掲載)