高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
脳卒中予防と血圧の関係
もみのき病院 診療部長 有光誠人 (脳神経外科)
高血圧は、脳卒中を引き起こす最も危険な要因と考えられています。
診察室で測定する血圧よりも、ご家庭で測定する血圧が特に重要で、家庭での血圧が5mmHg(※注1)下がるだけで、5年間の脳卒中の発症率が4割減少することが知られています。
健康的な血圧の目安としては、一般的な中高年は140/90mmHgを目標とするのが良いでしょう。
ご高齢の方については、動脈硬化が進行しているので余病がなければあまり下げすぎるのは考えものです。 収縮期血圧が140/160mmHg程度の方が、脳卒中と心筋梗塞での死亡者数が最も少ないという報告があります。 また75歳以上の後期高齢者については、150/90mmHg未満を目標にすることが示されています。 糖尿病・腎機能障害などの余病のある方は、130mmHgのやや低めの降圧を目標とするのがよいとされています。脳卒中の既往のある方は、個々の状態によって目標血圧が異なります。 脳出血の既往のある方や、血液をさらさらにする薬を服用している方は、厳格に130/80mmHg未満を目標にします。 目標血圧は人によって異なります。 自らの目標血圧を認識し、日頃より血圧測定を実施して健康管理に努めましょう。
(※注1) 血圧を測る単位で、「水銀柱ミリメートル」または「ミリメートルエイチジー」と読みます。「mm」は「ミリメートル」、「Hg」は「水銀」を表しています。
血圧が140mmHgの場合、水銀柱式血圧計の水銀柱を140mm押し上げる圧力があることを表わします。 (H28.11.16掲載)