高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
聴神経腫瘍を見つけるために ~知っておきたい聴神経腫瘍の初期症状~
もみのき病院 院長 森木章人(脳神経外科)
聴神経には、聴覚をつかさどる神経(蝸牛神経)と平衡感覚をつかさどる神経(前庭神経)があります。これらの神経(主に前庭神経)から発生する腫瘍を、聴神経腫瘍と総称しています。
聴神経腫瘍の初期症状は、目まい、難聴、耳鳴りなどが特徴的です。聴神経腫瘍は、良性の腫瘍で、腫瘍の成長速度はゆっくりではありますが、その反面、周囲の神経に腫瘍の圧迫が及ぶと嚥下障害(のみ込みが悪くなる)、三叉神経痛(顔の表面に激痛が走る)などの症状が出ます。腫瘍が大きな場合は手術の適応となりますが、腫瘍がそれほど大きくなく(2.5センチメートル以下)、脳幹を圧迫するまでには至っていない場合は手術をせずにガンマナイフという治療法を選択することができます。
目まい、耳鳴り、難聴の症状があればメニエール病や突発性難聴を疑いますが、中には聴神経腫瘍が原因であることがあり、まずは頭部磁気共鳴画像装置(MRI)での検査をお勧めします。
(H29.11.14掲載分)