高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
高気圧酸素治療について
もみのき病院 臨床工学技士 蒲原知恵
高気圧酸素治療(HBOT)をご存じでしょうか。
HBOTは、最近ではスポーツ医学などにも取り入れられているので、聞かれたことがあるかと思います。
HBOTは、カプセルの中に大気圧の倍である2気圧の環境をつくり、酸素を吸入する治療です。この治療により、通常の10~20倍まで酸素を体内に取込むことができます。そうして取込りこまれた酸素は、脳梗塞などで細くなってしまった血管の先まで運ばれ、あらゆる場所へ酸素を送ることができます。
通常、病院で行なうHBOTは、脳梗塞後の麻痺改善や突発性難聴(突然耳が聞えなくなる疾患)の治療として実施していますが、靱帯損傷や骨折などけがの回復に対しても効果が期待できます。
さらにHBOTでは、その臨床利用の有用性が注目され、糖尿病や高血圧の管理など、新しい適応開発の試みが進められている治療です。 通院治療として実施することもできますので、高気圧酸素治療を行なっている病院にお気軽にご相談してみてください。
(H30.5.17掲載分)