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高知新聞「医療のおはなし メディトーク」

高齢者の記憶喪失について

もみのき病院 診療部長 有光 誠人


記憶喪失 お年を召された方の中に、食事のときなどに何度呼びかけても何の応答もない時間帯がある人をまれに見かけます。口をもぐもぐさせたり両手で空をつかむようなしぐさをしたりすることもあります。多くの場合は、数秒から1~2分の短時間で元の状態に戻るので、「少しぼけが始まったのかな」と考えながらも見過ごしてしまうことが多いようです。
 ご本人にはその間の意識がなく、われに返った後に倦怠感を残していることもあります。
 このような記憶喪失(意識減損)の原因はいくつかありますが、最も多いのは脳卒中に伴うけいれん発作です。小さな隠れ脳梗塞が原因で、複雑部分発作という後天的なけいれんを起こします。この発作には効く薬があるので、内服加療によって症状は消失します。また、脳動脈狭窄によって脳卒中の前兆として気を失うこともあるので、こちらも要注意です。
 初期の認知症状と意識減損とは区別がつきにくく、背景に重大な病気が潜んでいることがあります。その多くは治療可能ですので、脳神経外科にご相談ください。
(H30.7.11掲載分) 

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