高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
スポーツ頭部外傷 ~脳振盪への対応について~
もみのき病院院長 森木 章人(脳神経外科)
近年スポーツに関わる頭部外傷、なかでも脳振盪(のうしんとう)への社会的注目が高まっています。脳は容器に入った豆腐と同じ状態で、頭を強く揺らすと脳も揺られて歪みが生じ、揺られ方が激しければ一部が崩れてしまいます。頭部外傷を繰り返すことで、急激に悪化する場合(セカンドインパクト症候群)と、高次脳機能障害(認知症やパーキンソン病など)を来す場合があります。
脳振盪が疑われたときには、頭部コンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)による確認が大事で、病院を受診して専門の医師(脳神経外科)の診察を受けることが必要です。脳振盪と診断された場合には、受傷当日の競技復帰はすべきではなく、まずは安静が第一です。その後も自覚的・他覚的症状が消失するまでは競技復帰は禁止となります。競技復帰は徐々に負荷を加える段階的復帰プロトコールに沿って行います。
「スポーツ現場で起こる頭部外傷にどのように対応すればよいか」については、日本臨床スポーツ医学会が作成した「頭部外傷10か条の提言」をご参照ください。
(H31.1.16掲載)