高知新聞「医療のおはなし メディトーク」
乳癌および肺がん診療ガイドラインから考える脳転移治療について
もみのき病院院長 森木 章人(脳神経外科)
日本ガンマナイフ学会の臨床研究グループが、脳転移が10個以内の患者に対して、磁気共鳴画像装置(MRI)で経過観察して定位手術的照射を繰り返すことにより、全脳照射を行わないことが可能であると証明し、センセーションを起こしました。
その結果を受けて、日本でも2018年版「乳がんおよび肺がん診療ガイドライン」が改訂され、脳転移した腫瘍の個数によっては定位手術的照射単独での治療が推奨されるようになりました。1~4個の脳転移に定位手術的照射単独で治療できること、全脳照射を併用しなくてもよいということになりました。
これは全脳照射を併用する場合の方が3ヶ月の時点での記憶学習能力が低下するという研究データが示されていること、生存予後は変わらないことの2点からの理由によります。そして10個以下の脳転移に対しても定位手術的照射、すなわちガンマナイフが治療選択肢の一つになったことは大きな進歩と思われます。
(R1.7 掲載)
外部リンクもみのき病院ガンマナイフセンターのサイト
外部リンク日本ガンマナイフ学会のサイト